【新人看護師でも】精神科でものをいうのは知識より人間力だと思う話【出来ること】

看護師

こんにちは。看護師のやみかんです。精神科の病棟で働いています。

タイトルの通り、私が精神科で働く中で一番大事なのって知識よりも「人間力」だなと常々感じています。

人間力って何?と言われたら具体的にはコミュニケーション能力かなと思います。対人スキルですね。あとは自分をコントロールする力でしょうか。(wikiより、厳密には生きていくための総合的な力だそうです)

入院患者さん同士の人間関係の悩み

コミュニケーション能力はどの仕事でも大事です。それって同僚や外部との連携のためにって理由が主だと思います。精神科の場合もそういったスタッフ間や多職種との連携がもちろん大事なんですが。一番は、患者さんが抱えている悩みを解決するのに使えるなと感じるこの頃です。

精神科で働く中で困ったことはたくさんでもあるのですが、知識は努力しだいだし経験はどうしようもないのでおいておいて。

患者さんが看護師に悩みを相談しに来るんです。例えば家族とか知人とか入院している他の患者さんとかとギスギスしてしまう、関係性がうまくいかないって悩み結構多いです。統合失調症の方よりも発達障害(自閉症スペクトラムとか)、境界性パーソナリティー障害の方とかに多いイメージです。さらにいうとコミュニケーションに重きをおいている女性に多いですね。

よく聞くのが、

患者さん
患者さん

○○さん(入院している他の患者さん)のこと苦手だけど、いつも話しかけてくる。一人で休みたいのに、断れなくていつも疲れちゃう…

っていう悩み。めちゃくちゃ多いです。何度も聞きました。そのたびに看護師は専門職としてアドバイスを求められます。

精神科の平均在院日数って、約280日ぐらい。その間入院している患者さん同士はずっと一緒にいるわけです。4人部屋などで部屋が同じであればほぼ24時間一緒ってことになります。そんなに長い時間家族でもない人、しかもお互いに精神疾患を抱えている状態ならトラブルが起こりやすいのもうなずけますよね。

この悩みをうまく解決しないとストレスが溜まって、より症状が悪化してしまうことが考えられます。場合によっては暴力や自傷につながる恐れもあります。

意識していない対人スキル

新人のころはどう返したものか悩みました。ケースバイケースですし今でも悩みます。

でも、ここで求められていることって「相手に悪い印象を抱かれないようにお断りする」ってことなんですよね。これって日常生活でも結構ありませんか?友達に遊びに誘われたけど気乗りしない時、上司に飲み会に誘われて断りづらい時などなど。経験ある方多いのではないでしょうか?

皆さんが普段使っている、相手に悪く思われないようなお断りの言葉を、患者さんはうまく引き出せないことが多いです。もしくは伝える勇気がないこともあります。

例えば私が気乗りしない上司の誘いを断る時には

やみかん
やみかん

誘っていただいてありがとうございます。でも、申し訳ないんですが、その日は都合が悪くて…。来月とかならいけると思うので、また誘ってください

みたいな感じで伝えると思います。

ここでしているのは

  • 誘ってくれたことへの感謝
  • お断りの謝罪と理由
  • 別の条件であればOKだということ

を相手に伝えています。

お断りの理由は本来正直に伝えるべきだと思うのですが、まあそこは社会性と思って目をつぶってください。

こういう相手への伝え方、専門的にいうとアサーティブとかって言ったりしますが、そんな言葉知らないよって方でも実践されているのではないでしょうか。

こういった日々のコミュニケーションで使われている、意識していない部分のスキルが、精神科の患者さんが社会で生きていくために必要だなって思うんです。

とりあえず、このフォーマットで相手に伝えることが出来れば良いのではないかと思います。

なので、はじめの方で例えに出した「他の患者さんから話しかけられて自分が休む時間がとれない」といった悩みに対して答えるならば

やみかん
やみかん

「ごめんね、本当はもっと話したいけど、今は疲れてるから部屋で休んでくるね。元気になったらまた話そう」って伝えてみるのはどうでしょうか?

みたいな感じでアドバイスします。

これでも、伝えるのに勇気がいるって方には、看護師をうまく使ってね、と伝えます。そもそも、入院している患者さんには「療養している」という前提があるわけなので、友人の誘いよりはスムーズな言い訳が作れるわけです。なので、よりお人好しな方へのアドバイスとしては、

やみかん
やみかん

「今ちょっと調子悪くて。疲れてる時には休みなさいって看護師さんに言われてるから…。元気な時に話したいから今はごめんね」っていう風だと断りやすいでしょうか?

みたいに提案しています。実際は「休まないと爆発しちゃうから」という風に患者さん自身の言葉で伝えてもらうこともありますね。

本筋とはズレますが、患者さんに助言を求められたときのアドバイスに返すときは提案の形にしています。「○○した方が良いよ」「○○しなさい」って上から目線に感じたり、強い言葉に感じてしまう方もいます。患者さんが「そんなこと言えたら悩んでないよ」って心の中で思っていても、看護師にうまく伝えられずに「わかりました。やってみます」って答えられてしまったら、根本的な解決にはならないと思うので。あくまで助言は患者さんが「これならできそう」と納得して実践できるものでありたいです。

知識を実践に生かす能力

ちらっと伝えましたけど、対人関係で役立つスキルに「アサーション」「アサーティブ」というものがあります。アメリカ発祥の心理学なのですけれども、こういうのを知っているのは知識ですよね。

なので、知識は大事です。ですが、それを実践で活かせるかは別の話。

こんなこと言ってはいけないのですが、知識ばかりで頭でっかちになり、臨床の場に活かせていない看護師さんはいます。もったいないって思います。私の周りにこういう知識持っていても対人スキルがいまいちって看護師いるんです。人のことは客観的に見えるけど、自分のことは客観的に見えづらいですからね。

逆に言ってしまえば、知識を覚えるのが苦手って方でも、対人スキルがあれば精神科看護師としてやっていけるんじゃないかって思います。

ノー知識はまずいので、働きつつ適度に勉強しながら「あの時自分がこういう行動していたのは、理論にあてはめるとアサーティブなことをしていたんだな」って振り返ればより身につくのではないでしょうか。

最短で看護師になる人は20歳で就職します。短いかもしれませんが、自分が20年間社会でやってきたことを活かすことができるわけです。患者さんの悩みを解決する手がかりになります。若い患者さんの中には学校に通えず、多くの人が学校の中で学ぶコミュニケーションが身についていないことがあります。そういった方には人生の先輩としてアドバイスができますね。

一例を出しましたが、他にも、「家族が面会に来るときに物をもってきてほしいけど、なんて頼んだらいいかわからない」「医者に怒られるんじゃないかと心配で薬のことを相談できない」「あの看護師さんが怖くて話しかけれない」などなど、入院患者さんの人間関係の悩みは尽きません。

コミュニケーション以外にもストレス対処など

対人関係以外でも悩みはいろいろあります。

患者さん
患者さん

すぐにイライラしてしまって手が出そうになる…。

患者さん
患者さん

不安で不安でしかたない。一人ですごせない…。

こういったストレスや心配事の対処方法でも、人間力が試されます。この場合は自分自身をコントロールする能力というべきでしょうか。

イライラしたことも不安にもなったことがないという方はあまりいないと思います。自分はどのようにイライラや不安・心配を解消してきたでしょうか?

私がぱっと思いつくのは

  • 趣味に没頭する
  • 大声で歌う
  • クッションや枕をパンチ
  • 人に話を聞いてもらう
  • 買い物をする
  • 旅行に行く

といったことが多いでしょうか?

ここの引き出しが多ければ多いほど、精神科看護師に向いてます!

なぜならば、患者さんはあの手この手であらゆる対処方法を組み合わせて感情をコントロールする必要があるからです。病院は限られた環境で限られたものしか使えませんし、「旅行に行く」なんてことは入院中できませんよね。

精神科では、一般の内科や外科と違って、安全のために病院内に持ち込める物品の規制が多いです。例えば割れて凶器になる鏡やガラス瓶、窒息の恐れがあるビニル袋、首を絞める危険のあるコード類など。安全と引き換えに娯楽や生活用品に限りがある状態です。

限りある状況で、いかに色んなパターンの対処方法を見つける、考えることが出来るかはとても大事なことです。患者さんの性格や趣味に合わせて提案できる看護師さんは信頼されますよ。

知識で言うと怒りのコントロールではアンガーマネジメントといった技術があります。例えば、怒りは6秒で消えるから、その時間を耐える、など。このような知識を持っていることも大事ですが、より日常生活に密着したすぐに使える具体的な方法は看護師がそれぞれ生きていく中で身につけるもの。誰のものでもない、自分の人生経験を活かすことが出来ますね。

新人さんでも出来ること

自分の人生経験を活かせるのって精神科の強みなんじゃないでしょうか。

しかも、これって学生さんや新人看護師さんでも出来ることだと思うんです。まだまだ知識も経験も足りない…と思って悲観せずに。

新人さんでも出来ることはあります。むしろ、年若い患者さん相手だったら、より近い目線で一緒に悩みを考えることが出来ますよね。思春期特有の悩みなどは、ベテラン看護師さんよりも親身になって考えられます。ベテランさんでは思いつかない発想だって思いついちゃうかもしれません。

逆に自分と全然違うアドバイスをしている先輩から学ぶことも多いです。

さらにさらに、職場で学んだことは自分の人生に行かせちゃいます。人間力の向上ですね!

これって有益でとっても面白いことだと思うんですよね。患者さんの役にも立ちながら自分にもメリットがあるんですよ。

私も、人間力向上しながら看護、頑張っていきたいと思います。

(※この記事はあくまで一看護師の個人的な意見です)

コメント

タイトルとURLをコピーしました